わたしが軽自動車を選ぶ理由。
第2の人生を、軽自動車とともに
Basecamp Haru
高橋豊さん、典子さん
2023.11.29
群馬県渋川市で、オートキャンプ場「Basecamp Haru ベースキャンプはる」を営む高橋豊さん、典子さん夫妻。働き盛りの生活が一段落したところで、これからの人生をどう過ごしたいかを考えた結果、埼玉県から典子さんの生まれ故郷である群馬県に移住してきました。キャンプ場をオープンして2年余り。今の暮らしについて話を伺いました。
余生を賑やかに過ごしたい
オートキャンプ場「ベースキャンプはる」には、老若男女様々な人がやってきます。敷地内で野菜を収穫して子どもとのバーベキューを満喫する人や、近くの温泉と合わせてゆっくりステイを楽しむ人、初めて孫とのキャンプにチャレンジするおじいちゃんおばあちゃんなど、楽しみ方も人それぞれです。
2年前にここをオープンしたのは、もともと東京で建築設計の仕事をしていた高橋豊さんと妻の典子さんです。なぜキャンプ場をオープンしようと考えたのでしょうか。
「最初からキャンプ場だと決めていたわけではなく、終の棲家をどこにしようと考えた時に、余生を静かに2人で…というのは想像できませんでした。いろいろな人達と交流しながら暮らすには、どうしたらいいかな?と考えました」。当初はゲストハウスなどを検討しながら土地探し。ある時偶然知り合った移住者から不動産屋を紹介してもらったことで、計画は一気に現実味を帯びます。「高台からの見晴らしがよく、夜景が見えて、南面で日当たりがいい。ここだ!と思いました」。
見つかった土地はゲストハウスには随分広い土地でした。折しもコロナ禍でキャンプに注目が集まっていたこともあり、様々なリサーチの結果、オートキャンプ場を始めることになります。
「ベースキャンプはる」は、すべてのキャンプサイトに電源と水道がある、敷地内に野菜の収穫体験ができる畑がある、ガーデンゴルフが楽しめる、ペットと一緒に滞在できるなど、いくつかの楽しい特徴があります。「最近は核家族が多く、幅広い世代が一緒になにかを経験する機会が失われています。キャンプは3世代みんなが楽しむことができるだろうと、未経験の方にも来ていただきやすい入り口をいろいろ考えた結果なのですよ。年配の方の中にはテント泊に抵抗がある方もいるので、最近はドームテントも新設しました」と豊さん。細やかな配慮の甲斐もあり、リピーターも多いそう。「次はイチゴの季節に来ます、などと声をかけていただけるのがうれしいですね」と話します。
「軽自動車って、こんなに機能的だったの?」
キャンプ場での業務に、軽自動車が大活躍しています。車のセレクトを担ったのは、典子さんです。「今どきの軽自動車は、車高が高くて室内空間も普通車に負けない広さだと聞いていましたが、実際にその通りで驚きました。ディーラーで話を伺い、燃費がよくて、まるでハイブリッドカー並だと思ったこと、今回は新車が欲しかったので、購入しやすい価格だったことも決め手になりました」。
選んだ車種はスズキのワゴンR。シルバーカラーがお気に入りの一台です。「施設のための備品を買いに行くのが、日々の仕事の一つです。トイレットペーパーや洗剤などの消耗品はもちろん、新しくDIYで作る設備のための道具や材料を運ぶこともあります。また私は園芸や畑も大好きで、花の植え替えや野菜の苗を購入するときにも活躍しています」と典子さん。「とにかく小回りが効いて、まさに足代わりです。キャンプ場が山の中腹にあるのですが、坂道もラクラク登れるパワーがありますし、くねくね山道もスムーズです。こればかりは、やはり乗ってみないとわからないものですね」と豊さんも太鼓判を押します。
次に欲しいのは、林と軽トラ
オープンして2年ほど経ち、顧客もしっかりと獲得してきた「ベースキャンプはる」。高橋さん夫妻は、次なる目標を設定していました。「まず林を作ろうと考えています」。開放的で見晴らしがいい場所なのは好評ですが、今のところ太陽光を遮るものがないため、キャンパーたちが木漏れ日の下で快適に過ごせるエリアを作りたいと話します。「木陰があると、人は自然と集まりますよね。まずは10mほどの木を15〜6本植えることから始めたい。樹種は、そうですね、モミジなんていいなと思っています。小さな木から育てるのもいいですね」と豊さんはビジョンを語ります。キャンプ場とともに成長する木というコンセプトも魅力的です。「小さな池もあったらいいですね。一度には無理ですが、いつか実現したいです」。
そうなると必要となってくるのが、軽トラックです。実はいまキャンプ場に植えられている木の中には、移住後親しくなった近所の人から譲ってもらった木もあります。園芸好きの典子さんと意気投合し、大切に育てた植物を分けてくれたのだそう。「ツバキ、サツキ、この前はクリスマスローズの鉢も譲っていただきました」。その都度、知り合いの軽トラを借りていましたが、いよいよ本格的に必要性を感じています。
好意を循環させる
高橋夫妻は、2年前に移住してきたとは思えないほど、多くの友人知人に恵まれているように見えます。新しい土地に住む場合、コミュニケーションの難しさが語られることがありますが、地域に溶け込むコツはあったのでしょうか?
「それが、みなさんがとても好意的なのです。土地探しで知り合ったレストランの方や不動産会社の担当の方に始まり、植物を譲ってくださる方、ご近所の方、みなさんフランクで温かく受け入れてくださいました。これは渋川の土地柄ではないでしょうか」と豊さん。とはいえ話を聞いていくと、2人が好意を受け取り循環させるのが得意な様子もうかがえます。もらった花のお返しに野菜を贈る、もらった木がキャンプ場で成長する様子を見てもらう。お金のやりとりでは生まれない関係が、「ベースキャンプはる」で生まれています。
もう一つやりたいことがあるんです、と豊さん。「渋川に、学びの里を作りたいのです。人生100年時代と言われている今を楽しく生きるための、60歳以上の方が学べるラーニングビレッジです。写真や絵画、お茶や語学など、教えてくれる先生と学びたい人が、例えば3日間、自炊をしながら渋川に宿泊して学びます。群馬ファンをしっかり作りながら、仲間づくりもできるような仕組みにしたいですね」とアイデアは尽きません。「このキャンプ場ができてから、『土日に灯りが付くようになってうれしい』と地域の方から言っていただきます。私達の地域への貢献は、これからです」。
高橋さん夫妻は、周りとコミュニケーションを取りながら、フットワーク軽く、新しい事業と生活を作り上げています。2人の余生は、ずいぶん賑やかなものになりそうです。